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夜想曲集
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先日のカズオイシグロ氏の番組を機に、今まで読んだことがなかった
彼の作品も読み始めました。
短編集ですが、最初の「老歌手」は、往年の大歌手と、
町でギターを弾く青年と一夜の交流を描いたもので、設定は
読者の誰にもありえないような設定です。

就寝前に読み始めたのですが、読み進むうちに、どんな展開になるのだろう、と
ワクワク感が高揚し、目が冴えてしまいました。
カズオ・イシグロの作品は、「私をはなさないで」ではクローン人間
「日の名残り」では、イギリスのお城で暮らす老執事、という
読者の日常からはかけ離れた設定が多いのですが、語られているものは
誰にも当てはまる普遍であり、突飛とも見える設定だからこそ
普遍を探し当てる楽しみも与えてくれます。

私は小説も随筆だと思います。
随筆というジャンルの作品が、いいたいことをそのままずばり述べるのに対して
作者の考えを受け取りながら、かつ内容を楽しめるものが小説だと思っています。
一粒で二度美味しいのが、小説ではないかと思います。

よく本を読む「ヒマ」があるわねえ、と言われますが、
私の読書は主に台所なのです。
【2011/04/24 13:41】 | book | page top↑
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