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何も諦めなくていい

この本に出会ったのは、羽田空港の書店でした。
キャリーバッグをひいて狭い書店に入ることは
他のお客様に迷惑なので空港では極力入らないようにしているのですが
その日はなぜか呼ばれるように、入っていきました。
志保さんから依頼されたハーブティー。彼女の葬儀のときに作ると心に決めたものの、納得できる材料が無くいつも心のどこかにひっかかっていました。
でも、全て県内産、それも安全で美味しいとなると無理かも・・・
そう諦めかけていたところに、帯の
あなたは、何も諦めなくていい
が目に飛び込んで来て、手に取ってみると、なんとそれは、アメリカのシングルマザーが全米最高のお茶ブランドを築き上げたお話でした。
あれから、2年
この本は、安易に流れそうになる私を叱ってくれたり励ましてくれたり、忘れかけたことを思い出させてくれたりしてくれました。
簡単に手に入るものを使ってお茶を濁してもわからないんじゃないか、と悪魔が耳元で囁くこともありましたが、ページのやり取りが頭に浮かんでくるのです。
自宅の庭の薔薇を使ったジプシーラブというハーブティーが好評を博し、量産体制に入ろうとしたときのことです。オーガニックの薔薇を仕入れようと思ったら6倍の価格であることに気づいたそうです。出資者は「誰もそんなこと気づかない、そもそもオーガニックと売られているものだってそうとは限らない」、と採算ベースで考えなければ出資しないと迫られたそうです。
その時に彼女は一般の薔薇と人工香料、自分の庭のオーガニックな薔薇の両方のお茶を米国茶協会の教育部門の委員会に持ち込み、飲んでもらいます。目隠しテストの結果、半々の結果で、プロの方でさえ、人工香料の方を「明るい味」と評します。
がっかりしていた彼女に香料会社で人工香料とオーガニック香料の両方を作っている人が声をかけ、かすかだけど決定的な違いを教えてくれます。
それは太陽をたっぷり浴びて育てられた「太陽の風味」なのだそうです。たいていの人はその違いを嗅ぎ分けられないかもしれないけれど、わかる人にはわかるのだそうです。そしてこのビジネスを頑張ればそういうことがわかる人も増えてくると思うけれど、何より作る人自身が最高のことをしているということをわかることが重要、と。
そんな矢先でした。さわださんの伊予柑に出会ったのは。そして火中の栗を拾う思いで引き受けたハーブサミットの中で、クロモジ茶を作ってくださる筒井さんにも出会うことができました。筒井さんはShihoの製作もお願いしたのですが、ご家族総出で、堅い伊予柑皮を手作業で丁寧に刻んでくださいました。
粉砕器で傷め付けられていない伊予柑ピールです。
「太陽の風味」これははっきりとしたものではないと思いますが、Shihoをお飲みくださった方が一様に「優しい味」と仰ること、それは、これではないかと思います。伊予柑皮、ローゼル、クロモジ 全て作っておられる方から直接受け取りました。
どんな味かもわからないのに、私の思いに共感してお買い求めくださった方、そしてその方々の中で、「太陽の風味」に気づかれた方にお渡ししたい、そんな風に考えています。
【2016/08/26 10:39】 | book | page top↑
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